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バイオフィードバック

自律神経の働き、筋肉の緊張や動き、脳波などの
身体の状態を専用の装置で測定しながら自分で
コントロールできるようにトレーニングする方法です。

バイオフィードバックとは

バイオフィードバックとは、普段意識していない自分の身体の状態(筋緊張、血圧、脈拍、呼吸、脳波など)に気づき、コントロールできるようにするトレーニング法または治療法のことです。各種センサーを身体に装着し、専用のバイオフィードバック装置で測定結果をリアルタイムで確認しながらセルフコントロールできるようにトレーニングします。

例えば、手の温度を上げたり、呼吸をゆっくりとしたり、意図した筋肉を緊張/弛緩させたり、心拍リズムや脳波を変えたりすることで、自分自身の健康状態や運動能力を高めることができるようになります。バイオフィードバックは、自分自身の思考と受動的集中状態を利用して心身を健康にしていく心身医学的アプローチの一つです。

バイオフィードバックは健康や医療だけでなく、スポーツ、教育、ビジネスなど広い領域で、自分自身の能力を高める手法として応用されています。バイオフィードバックは、ストレスによる身体の緊張などの変化に気づくことで、症状を軽減したり、運動能力を高めたり、勉強や仕事の効率を上げたりすることができるのです。

バイオフィードバックの実際

バイオフィードバックによる治療は、次の5つのステップで行われます。

1)
精神生理学的ストレスプロファイルの測定
筋電位・末梢皮膚温・指尖容積脈波・心電図・皮膚電気活動・呼吸・脳波などの生理学的指標を、多チャンネル測定装置で同時測定しながら計算やイメージなどによるストレス負荷をかけ、その変化を観察します。例えば、暗算などの認知的ストレスにより、末梢皮膚温が低下したり肩や後頸部の筋電位が増加するといった変化がわかります。これらは、各個人によって異なったパターンをとり、治療経過とともに変化していきます。
2) 心身相関への気づき
ストレスプロファイルの測定結果を、患者自身にその場でフィードバックすることにより、身体の生理反応が心理的な影響を受けているということが視覚的・直感的に理解できます。このことは、自分の健康状態は自分でコントロールすることができるということへの気づきが促され、セルフケアのための様々な方法を日々実践するためのモチベーションを高めます。
3) せルフコントロール法の指導
呼吸法・自律訓練法・筋弛緩法・瞑想などのリラクセーション及びセルフコントロール法を習得していきます。バイオフィードバックを使うことで、実際に身体レベルでもリラクセーションが得られているかどうかを確認しながら練習できます。
4) バイオフィードバック・トレーニング
1~2種類の生理学的指標を選び、リアルタイムで測定信号をアニメーションの動きや音などによるフィードバック信号を参考にしながら、各種セルフコントロール法が効果的に実践できるよう繰り返しトレーニングを行います。
5) 自宅での練習
最終的には、バイオフィードバック装置を使わなくても日常生活でセルフコントロールが自由にできるようになることが目標となります。

バイオフィードバックの臨床応用

バイオフィードバックの臨床応用には、症状の原因となっている生理反応を直接コントロールする「直接法」と、不安や緊張を改善するためのリラクセーションを目的とした「間接法」の2通りありますが、実際には、この両方が併用されることが多いようです。

直接法
・緊張型頭痛、痙性斜頚、書痙:
   症状の原因となっている筋肉の過剰な緊張を弛緩させるトレーニングを行います。
・失禁(尿・便):
   括約筋の弛緩状態を、筋電位を測定しながら筋肉を緊張させたり弛緩させる方法を学習していきます。
・脳卒中後のリハビリテーション:
   麻痺状態の筋肉を再び動かすことができるように、筋電位を使ってトレーニングしていきます。
・レイノー病、片頭痛:
   血管の異常な収縮による末梢血液量の減少を、皮膚の温度を上げる訓練を行うことで改善していきます。
・ADHD(注意欠陥多動性障害):
   原因となっている脳波の状態を直接コントロールすることで症状の改善が期待できます。

間接法
不安・緊張などにより痛みの閾値が低下している慢性疼痛や術後疼痛などのほか、自律神経機能が交感神経優位の緊張状態にある症状では、末梢皮膚温・筋電位・皮膚電気活動・脈波・脳波などを使った間接法によるバイオフィードバックを行うことで、症状の改善が期待できます。この場合、呼吸法や自律訓練法などの各種リラクセーション法と組み合わせることでより効果が上がります。

バイオフィードバック認定制度

バイオフィードバックの認定制度には、日本バイオフィードバック学会の認定技能師資格と、バイオフィードバック国際認定機構BCIA(Biofeedback Certification International Aliance)による認定資格があります。
BCIA認定資格には、「バイオフィードバック全般」 「ニューロフィードバック」 「骨盤底筋群機能不全トレーニング」の3種類があり、世界で唯一のバイオフィードバック専門家認定のための非営利組織による認定資格です。現在、欧米を中心として約1500名が認定資格を持っており、そのうち日本人の認定資格者は3名です。

参考図書・文献

下記、本サイトの参考図書・文献になります。

書籍 著者 出版会社
バイオフィードバックとリラクセーション法 竹林 直紀 編著 金芳堂
実践ワークブック 新しい認知行動療法 エリック・ペパー 金芳堂
バイオフィードバック入門 ―薬を使わずに病をなおす― 辻下 守弘 秀和システム
バイオフィードバック入門 江草 安彦他 訳 医学書院
バイオフィードバックの驚異 エルマー・グリーン ブルーバックス
バイオフィードバック ―実践のためのガイドブック― 斉藤 巌 監訳 新興医学出版社
Biofeedback   A Practitioner's Guide  3rd Edition M. Schwartz Guilford